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翌日。
先輩の部屋の前で深呼吸をすると、インターホンを鳴らした。
一度目は応答なし。
予想通りの反応だ。
今日、珍しく先輩が学校を休んだ。
昨日の今日だから、多分病欠じゃないと思う。
先生にも様子を見に行ってほしいと頼まれて、先生が持っていた先輩の部屋の合鍵を預かってきた。
それを鍵穴に差し込み、回してみる。
「開いた……」
開くのは当然なんだけど、ちょっと罪悪感がある。
仮にも他人の部屋に、許可もなく入るという行為。
本来なら不法進入だ。
一応「お邪魔しまぁす…」と小さい声で言うと、何となく足音を立てないように廊下を進む。
リビングのドアをゆっくりと開け、開いた隙間から中を覗くも先輩の姿はない。
そのことに安堵して小さく息を吐くと、リビングの中に足を進めた。
相変わらず殺風景なリビング。
ガラステーブルには、珈琲カップと昨日ゴミ箱に捨てていた茶封筒と恐らく中に入ってたであろう白い紙が投げ捨てたように置いてある。

