あの先輩をここまで動揺させて弱くしてしまう“家族”。
何がそこまで動揺させるんだろう。
さっき話してた『許す』って何?
「気になる?」
運転中の先生はこっちを見ずに言う。
その横顔からは、いつもの爽やか笑顔が消え切なく見えた。
「気になります…先輩が元気ないと私も辛い」
「ホント好きなんだね、慶吾のこと」
先生の言葉に、照れながらもコクンと頷く。
…好き。
先輩のこと、凄く好き。
丁度信号で止まると、先生は私を見据えた。
「あいつを助けてくれる?」
「……助ける?」
それから家に着くまでの間に先生から聞いた話は、あまりにも悲しくて切なくて涙が溢れた。

