ここではやめて!
兄弟なんだから、弟の負のオーラを読み取って下さい‼︎
「森野の件、ありがとな」
「へ?」
予想と全く違う話をされて、変な声が出た。
「いえ、お礼言われるようなことは何も」
なんだ。鈴菜の話か。
なんか焦って損した気分。
「今の落合と森野、いい顔してるよ」
「そうですか?」
「ああ。若いって羨ましいよ」
でも、私達が今こうして本当の親友になれたのは、先生のお陰だ。
鈴菜と話す勇気をくれた。
あれがなかったら、きっと私は鈴菜に会いに行けなかったから。
「で、陽平は何しに来たわけ?」
私と先生が呑気に笑っていると、地を這ったような低い先輩の声が聞こえた。
うわ……先輩、めっちゃ機嫌悪い……
キラキラ王子の姿なんてどこにもなく、暗黒の王様のようだよ。
「ああ、これ。父さんから」
だけど、そんな先輩に怯んでるのは私だけのようで、先生は全く気にしていないようだ。

