考えれば考える程、幸せで顔がニヤけてしまう。


あー‼︎ヤバい現象だ。


先輩の甘えん坊を独占出来るならこのままでもいいや、なんて思っちゃうじゃん。



先輩の髪をそっと撫でる。


ワックスをつけていない髪は柔らかくて滑らかだ。


私なんて昔から髪一本一本が太くて剛毛でゴワゴワしてるから凄く羨ましい。



「……ミヤ」


「はい?」



暫く撫でていると、先輩がモゾモゾと膝の上で体勢を変えて仰向けになった。


トクンと胸が鳴る。


下から見上げられるのは嫌なはずなのに、先輩の甘い視線から逃げられない。



「あのさ」と先輩が口を開いた、その時。



ガチャン、と玄関の方からドアが開く音が聞こえた。



「慶吾いるか?」



さっきの甘い雰囲気が、一気に緊張に変わる。


この声は……この声は、田中先生⁉︎



「あれ?この靴……もしかしてお客さん?」