俺様主人は時に甘い


「…遅くなってスミマセン」



先輩の前に立つと、そのオーラというか眩しさに負けて、身体が勝手に先輩から距離を取る。


更にあの手紙が頭を過って、周りの視線を気にしてつい目を逸らしてしまった。



先輩は悪くないのに、凄く失礼な態度だ。



だけど、先輩は顔色ひとつ変えずに、隣りにいた鈴菜に視線を移した。



「君は昼に一緒にいた友達だよね。確か野球部の…」


「はい。マネージャーの森野です」


「そうそう。森野さんだ」



昼とは違って、鈴菜にうっとりとした様子はなく、反対に毅然とした態度で先輩と接している。



「笠原先輩。雅のこと、よろしくお願いします。この子、天然で鈍臭くてチビで小動物みたいに弱いからちゃんと見ててあげて下さいね?」



ちょっと鈴菜さん…

小動物って、酷くありませんか?


だけど、そう言う鈴菜の顔は真剣で。


すぐにわかった。


あの手紙のこと、気にしてくれてるんだって。