「先輩は余裕なんだと思ってました…経験が沢山あって、女の子に慣れてるもんだと……」
「何だそれ」
「だって先輩モテるから……女の子が放っとかないでしょう?」
先輩は誰もが認める学校の王子様。
アイドル的存在で見てるだけで充分って人もいれば、恋愛感情を抱く人だっている。
学校の中だけでなく、外を歩いてるだけでもしかしたら年上の女性を虜にしてるかもしれない。
そんな先輩なら、経験なんて星の数……っていうのもわからなくもない。
私が知らない先輩を知ってる人がいて。
先輩に触れたことがある女性がいる。
それは仕方がないことでも、嫉妬心が芽生えて私の胸の中を掻き乱す。
先輩はふぅ、と息を吐くと私の肩を抱き寄せた。
「慣れてなんかない。まぁ、興味本位で何度か経験はあるが、女と付き合ったことなんてないし、この部屋に女を入れたこともない。お前が初めて」

