「この前も来たのに」
ええ、ごもっともです。
先輩と付き合い始めた日もここに来ました。
もちろん二人っきりでした。
でも‼︎あの時と状況が違います。
あの時はまだ付き合ってなかったし、それどころじゃなかった。
先輩の傷の消毒目当てでアレヨアレヨと言う間に家にお邪魔してて、二人っきりを意識する暇もなかった。
それに、春香ちゃんの存在が気になって、頭の中は二人の関係について色々勘ぐってたから。
でもでも今は、念願の恋人同士。
彼氏の家。
誰もいない、二人っきりの密室。
意識しない方がおかしいでしょう!
「先輩は平気なんですか?」
私はこんなにドキドキしてるのに、先輩は顔色一つ変わってなくて。
いつものように余裕な感じ。
なんかそれって、私だけ意識して悔しいし……悲しくない?
「俺?平気に見える?」
ふ、と口元を上げて質問返し。
むむ。それもまたなんかズルい。