俺様主人は時に甘い


息が上がるぐらい叫んだ。



こんなに大きな声を出したり、こんなにも怒ったのはいつ振りだろう。


今までの私だったら、多分見て見ぬ振りだった。


それなのに今は、二人の男子と対峙してるなんて。


大事な友達が出来たらこんなにも変われるもんなんだ。



「こいつも痛い森野の仲間入りだな」


「アホらし。行くぜ」



予想以上に私が叫んだのと、野次馬が一気に増えたせいで、二人は舌打ちをすると背を向けた。


その腕をパシッと掴んで引き止める。



「まだ撤回してない!」


「しつけぇなっ‼︎離せよ!」


「離さない!撤回するまで絶対‼︎」



より一層騒つき始める廊下。


先生呼んできた方がいいんじゃない?、という声も聞こえてくる。



私は今も私の手を振り払おうと腕を振る男を、必死で逃すまいと食らいつく。


すると、



「何の騒ぎだっ!」



野次馬の中から田中先生が慌てた様子で駆け寄ってきた。