俺様主人は時に甘い


「撤回して」



気がつくと、私の足は下品な二人組の男の前まで進んでいて、二人を呼び止めていた。



「あ?」


「今の言葉、撤回して」


「何震えてんの?お前、頭ダイジョーブ?」



私を馬鹿にするようにそう言うと、二人はゲラゲラと笑う。


周りの生徒が離れた所から好奇な目を向けてくるけど、そんなの今は気にならないぐらい怒りで震え上がっている。



「やっぱ落合さんも森野の仲間?体売ってんの?」


「なぁ、千円やるからこれからどう?」



狂ってる……


人を馬鹿にして何が楽しいの?


人の気持ちが、この二人には欠落してるんじゃないの?



「私のことは何て言ってもいい。だけど鈴菜のことこれ以上悪く言うのは許せない」


「ウケる。素晴らしい友情ですねってか」


「笑わないでっ‼︎鈴菜は純粋で真っ直ぐで一途で、凄く良い子なんだから。私の大事な親友を傷付けるのは許さないっ‼︎」