俺様主人は時に甘い


おばさんと微笑み合うと、「お邪魔しました」と挨拶をして歩き出す。


数メートル先で足を止め鈴菜の部屋を振り返ると、閉まっていたカーテンが開いていてレースカーテンの向こう側に人影が見えた。



私達、本物の親友になろうね。


誰もが羨むほどの絆を築こうね。



そう心の中で呟くと、また歩き出した。








ドキドキする……


このドアの向こうに、鈴菜がいるか。


考えただけで手に汗握る。


ふぅ、と息を吐き、ドアの取っ手に手を掛けると、厭らしい男の声が聞こえた。



「なぁ、知ってる?森野、昨日は金髪のヤンキーとホテル街歩いてたって」



振り返ると、そこには鈴菜と同中で悪い噂を流したあの男がいて。


懲りもせずにまた有りもしないデタラメな噂を口にしていた。



「あの女、まじきもくね?幾ら払ったらやらしてくれるんだろうな」


「あんなヤリマン、千円で十分だろ」


「うわ!お前ひどっ」



朝から気持ち悪い笑い声に、虫酸が走る。