俺様主人は時に甘い


「ああ…少し、痛いかも」



そう言って、先輩は私を強く抱き締めた。



初めて先輩の心の傷に触れた気がして、不謹慎だけど嬉しくなる。


私にだけ見せてくれる顔。


これからは先輩が寂しくないように、私が側にいようと心の中で誓ったーーー。







翌日、夜7時。


鈴菜の家の前で、心臓を落ち着かせるように大きく深呼吸をする。


一階の窓から灯りが漏れてるから、今日は誰かしらはいるはず。


鈴菜の部屋は真っ暗だけど、望みはある。



「よしっ」



意を決してインターホンを鳴らすと、「どなたですか?」と初めて応答があった。



「鈴菜さんと同じクラスの落合雅といいます。鈴菜さんはいらっしゃいますか?」


「鈴菜の?少々お待ち下さい」



鈴菜のお母さんは酷く驚いた様子で、慌ててインターホンを切った。


なんとか門前払いもなさそうで、第一関門突破にホッと息を吐く。