田中先生にこの事を言うの?


鈴菜の言う通り、先生ならなんとかしてくれるかもしれない。でも。



「先生には言わないで…」



迷惑掛けたくない。


先生だって、新学期が始まって色々と大変なはず。


私なんかのことで、苦労ごとを増やしたくない。



「ほら、まだこの手紙だけで被害ないし。もしかしたらただの悪戯でこれっきりかもしれないから」


「でも」


「鈴菜、ありがとう。でも私、本当に大丈夫だよ?さっきはちょっとビックリしちゃったけど」



私はわざと笑って平然を装う。


本当は少し怖いけど、この程度ならまだ我慢出来る。



鈴菜は全然納得していないようで、眉間に皺を寄せたまま黙り込む。


怒らせた、かもしれない。


鈴菜は心配してくれたのに、私の我が儘でそれを無下にしてしまった。