「ちょっと沁みますよ」
先輩の頬の傷口を、消毒液を湿らせたガーゼでトントンと拭う。
沁みて痛いのか、先輩の眉毛がピクッと動いた。
「すみません…痛かったですか?」
「別に平気」
それにしても、間近で見る先輩の顔ってやっぱり綺麗。
毎日外で日光を浴びて練習してるのにスベスベの肌だし。
相変わらずの端正な顔立ち。
隣りに並ぶのが嫌になるぐらいだ。
「何見惚れてんの?」
ニヤッと口角を上げる先輩に、カァッと顔が赤くなる。
「な、何言ってんですか⁉︎見惚れてなんかいませんっ」
「どうだかな」
「見惚れるわけないじゃないですかっ‼︎私、先輩のこと別に好きじゃ……っ」
“好きじゃない”
いつもの調子でそう言おうとして、口を噤んだ。
私の駄目なのはこういうとこだと思う。
素直じゃないし、すぐ売り言葉に買い言葉が口から出るし。

