必要ない?
消毒するのに消毒液がなかったら話にならない。
でも、と口を開きかけた時、先輩は私の手を取って立たせた。
「俺ん家、すぐそこだから」
……は?先輩の家?
有無を言わさず、半ば強引に引っ張られて連れてこられたのはマンションの一室。
殺風景で、生活感が全くない。
「あの…先輩。ご家族は…?」
何だか、家族で住んでるには違和感を感じる。
まるで先輩しか住んでいないような、そんな感じ。
でも、一人で住むには大き過ぎる家だ。
「ああ…一人暮らしだから」
「一人?」
そう言われてハッとした。
そういえば、先輩のご両親は離婚してたんだ…
「ご、ごめんなさい……」
私ったら、無神経過ぎる。
一人って言った時の先輩がやけに悲しそうで、胸が痛くなった。

