俺様主人は時に甘い


何に追われるわけでもないのに、止まることなく走り続けること数分。


そろそろ息が苦しくなって足を止めると、壁に手をついて乱れた呼吸を整えた。



「っ…ハァハァ………ふ、ははは」



私、馬鹿みたい……


ホント、滑稽で笑える。



先輩にはちゃんといたんだ。


二人で何度も食事に行って、呼び捨てで名前を呼び合うような人が。


素の自分を見せてる特別な女性が…


ペット以下の分際で先輩の側にいたいだなんて、身の程わきまえろっつーの。



「ふふ、惨めだなぁ…」



惨め過ぎて泣けてくる。


涙を何とか抑えようと唇を噛み締めるけど、それは収まるどころか止めどなく溢れてくる。



遠くに行きたい…


先輩のいないとこなら何処でもいい。


そうだな、南国なんて最高。


暑さのあまり、私なんて溶けていなくなってしまえばいいのに……