純粋に羨ましいと思った。


私は中学の頃、部活に所属していないし友達は中二の時に引っ越してしまった親友だけ。


思い出話なんて、何一つない。


この性格がもう少し明るくて、人見知りがなければって……何度思ったことだろう。



「おい。ボールまだ残ってんぞ」



道路に突っ立ってフェンス越しに校庭をボーッと眺めていると、すぐ近くで声が聞こえた。


ハッと我に返る。


今の声……先輩に似てる。



声の主に恐る恐る目をやる。



身長が高く、広い背中。


痩せ型だけど、筋肉が程よくついた腕と脚。


無造作にセットされた黒髪。


その後ろ姿は…



「先輩…?」



見間違えるわけない。


先輩と離れてから、何度も何度もその愛しい背中に訴えた。



ーーーー私を見て。