鈴菜の家から駅に向かう途中、角を曲がったところに中学校が見えて足を止めた。
そういえば、先輩と鈴菜は同じ中学校だっけ。
数日前、特別棟の一階階段下でペット降格を告げられた時の先輩の酷く傷付いたような、泣きそうな表情を思い出して胸が痛む。
最近、思い出すのは決まってあの時の顔で、先輩の笑顔が思い出せない。
先輩は私のこと、たかがペットとしてしか見てなかったはず。
なのに、ペットが放っといてって言っただけで、なんであんな顔するの?
あの表情の意味は、何?
中学校からチャイムが聞こえる。
時間からして恐らく部活終了を報せるチャイムだと思う。
私の足は、無意識に中学校の方へと向いていた。
校庭ではサッカー部や野球部が片付けをしていて、和やかなムードが漂っていた。
まさに青春。
夕日を背に浴びて、仲間達と今を生きる。
精一杯、後悔しないように。