俺様主人は時に甘い


「落合、ちょっと」



教室の入口から田中先生が私を手招きする。


その声にドキッと胸が跳ね上がって、返事の声が裏返ってしまった。



先生はあれから何も変わらない。


私だけ意識しちゃって、あの屋上で言われたことは私の夢か妄想だったんじゃないかって思うぐらいだ。



「森野のことなんだけど」



そうやって話を切り出す先生は、やっぱいつもの先生で。


何の話なのかドギマギしてた私が馬鹿みたい。



「悪いんだけど、一度様子を見に行ってくれないか?」


「え?」


「落合と森野の間に何があったか知ってる。だけど、俺が行っても会ってくれないんだ」



先生、いつの間に鈴菜のとこまで行ったんだろう。


毎日、学校の後は部活に顔を出して、もちろん休みの日も一日練習があったのに。



「このまま休み続けると、勉強にも遅れが出るし。進級も危ない」



先生は顔を歪める。


辛そうな、悲しそうなそんな表情で、先生が鈴菜を心配してるのがヒシヒシと伝わってくる。