俺様主人は時に甘い


え…何で先輩がここに?


もしかして、今の…


先生にキスされそうになってたの見られた?



ヤバい、ヤバいよ……


この前危機感無さすぎって呆れられたばっかで、それが原因で先輩と気まずくなっちゃったのに、またこんな場面を見られちゃうなんて。



先輩の方をとてもじゃないけど見れなくて俯いていると、



「はあぁ…お前、空気読めよ」



先生が私から離れ、盛大なため息を吐いた。



「陽平。顧問が呼んでる」


「うわ。ヤバ……落合、悪い。さっきの話、考えといてな」



なるべく前向きに、と耳元に唇を寄せて囁く先生にカァッと頬が熱くなるのを感じる。



先生はそんな私を見てクスッと笑うと、颯爽と屋上を出て行った。




先輩と、二人取り残された屋上。


シーンと静まり返り、変な緊張で心臓がやけに早く鼓動を繰り返している。


先輩は屋上の開いたドアに腕を組んで寄り掛かっていて、何も言わない。


沈黙がやけに重苦しい……