俺様主人は時に甘い


「でも、ようやく解放されて良かったね」



そう言って、馴れ馴れしく右肩に手を置かれた。


触られた右肩から鳥肌が立つ。


ヤダ…気持ち悪い、気持ち悪い……!



「は、離して下さい」


「あ?離せ?何それ。君を助けた俺に向かってその口の聞き方はないんじゃない?」



私の言葉に機嫌を悪くした男子は一気に不機嫌な表情を浮かべると、後退る私にジリジリと詰め寄ってくる。



君を助けた?馬鹿言わないで。


落とし入れた、の間違いでしょ?



私はあなたに助けられた覚えもないし。


噂を流して、同情という名の好奇な目を向けさせただけじゃない。


それの何処が人助けって言うのよ。



…なんて、思っても気味が悪くて言えない。



男子の手が伸びてくる。


あと数センチで腕を掴まれそうになった、その時。


背中に温もりを感じた。


その温もりが誰のものなのか、身体が覚えていて。


またピンチの時に助けに来てくれた。


心が安心して、目に涙が滲んだ。