「今日の欠席は森野だけだな」



朝のホームルーム。


空いた窓から入る微風が火照った肌に触れると何とも気持ち良くて、それを身体中に取り入れるようにゆっくりと深呼吸をした。




鈴菜が犯人だってわかってから一週間。


世はゴールデンウィーク間近でそわそわしている。



鈴菜がこの教室にいないことなんか、誰も気に留めてないのに。


私はあんなことされても、鈴菜は大丈夫なのかなって心配になる。


先輩にはお人好し過ぎんだよって言われるけど……




「雅ちゃん!一時間目移動だよ。早く行こ」



いつの間にかホームルームは終わったようで、香澄ちゃんが音楽の教科書を手に私の席に来た。


鈴菜が学校に来なくなってからすぐに、クラスメートの中野 香澄(ナカノ カスミ)ちゃんと金崎 みどり(カネサキ ミドリ)ちゃんと友達になった。


一人でご飯を食べていると、一緒に食べようって誘ってくれたのがきっかけ。


二人はバスケ部で、部活の終わり時間が合うときは一緒に帰ったりもする。