あの男の理想が高い鈴菜までもが、目をうっとりさせて笠原先輩を見つめている。


私だって先生が好きだけど…


先生一筋だけど、つい先輩に目を奪われる。


あの人の惹きつける魅力は最強だ。



「あ!こっち見た!」



先輩は私達二人に気付くと、何故かニコニコ極上スマイルを浮かべて近付いて来る。



「え⁉︎え⁉︎何で?こっち来る⁉︎」



珍しく慌てふためく鈴菜。


そりゃそうだろう。


普通の女子は、多分笠原先輩には簡単に近付けない。


眩しすぎて、話し掛けることさえ敷居が高い。


現に、渡り廊下や中庭にあっという間に女子が集まり、遠巻きにその姿を目をハートにして見つめている。



そんな高嶺の花の笠原先輩が、どうして私達二人の目の前で足を止めて、キラキラ輝く笑顔を向けているんだろうか。



「落合雅さん、だよね?」


「あ…はい」



王子様、もとい笠原先輩は笑顔を崩さず、その薄い唇が私の名前を呼んだ。