「素の俺を知ったら離れてくかと思ったけど、その逆だった。話し掛けてくる頻度も増えたし、待ち伏せは当たり前。仕舞いにはくっついてくるようになった」
「あれ?でも、“前は影でコソコソしてたのに”って昨日保健室で言ってたような……」
先輩は「それは…」と少し気まずそうに目を逸らすと、一度息を吐いた。
「もう近付くなって言ったら、交換条件出されて」
「交換条件?」
「キスしたら俺が卒業するまでは話し掛けないって言うから」
先輩と鈴菜がキス……?
心臓が重くドクドクと波打ち始める。
二人のキスシーンを思い浮かべた途端、黒い感情が胸に流れ始めた。
「したんですか……?」
嫌だ、首を振って…
してないって否定して…
だけど。
「……したよ」
先輩の答えは、私の頭を鈍器で殴るぐらいの衝撃を与えた。

