俺様主人は時に甘い


「聞こえなかったか?金輪際、俺らの前に現れるな」


「ひぃっ…」



先輩の背筋が凍るような声に、鈴菜は涙を浮かべると外へ走り去った。


「鈴菜!」と咄嗟に名前を呼ぶも、振り返ることはなく。


やがて、姿が見えなくなった。






「ごめんな」



突然謝る先輩に「え?」と振り返ると、ふわりと先輩の腕に抱き締められた。



「先輩⁉︎」


「こんな形になってごめん。お前をなるべく傷付けたくなかったのに、抑えられなかった」



先輩は犯人が鈴菜だって気付いた時から、どうしたら私が傷付かないか考えてくれていたんだと思う。


先輩は実は優しい人だから、私のためにこうして傷付いてくれてる。


先輩は悪くないのに。


先輩が守ってくれたから、私は鈴菜が犯人だってわかってもこうして立っていられるのに。



「謝らないでください。先輩は悪くありません」


「俺のせいだよ。俺がもう少し身辺整理出来てたら、そもそもお前を巻き込むこともなかった」