俺様主人は時に甘い


「なぁ、ミヤ。ただこうやってんのも暇だし、良い事でもする?」


「い、良い事…?」



先輩が言う良い事って、私にとっては不吉極まりないんですけど……


今もなお、悪巧みしてるような顔の先輩に唾を飲んだ。



その時ーーーーー、ガタンッ!



下駄箱を開けるような物音が聞こえ、ビクッと肩を揺らした。



緊張が走る。



犯人なのか、それとも別人なのか。


ここからでは判断しようがない。




「行くぞ」



先輩は声を潜めてそう言うと、私の目を真っ直ぐに見据えた。



掌に汗がじわっと滲み、心臓は重苦しく揺れる。



あの【死】と書かれた紙や画鋲だらけの上靴。


その悍ましい光景が頭の中にフラッシュバックする。



怖い、怖い、怖い……っ‼︎



先輩の制服の裾をギュッと握ると、先輩はその手を大きな掌で包んだ。



「大丈夫。俺がついてる」



先輩が…ついてる……