俺様主人は時に甘い


「お前さ、もう少し声押さえろよ。犯人にバレんだろ」



はぁ、とわざとらしくため息を吐く先輩。



ゔぅ…


やっぱりこの人、ムカつく!


昨日、少しはいい人なのかなって思った自分が馬鹿だった。


昨日の自分に「騙されるな」ってどついてやりたいよ、ホント。



先輩に下駄箱の件がバレたのが昨日の話で、今日犯人を捕まえるために朝早くから先輩と昇降口に隠れている。



もちろん、昨日は部活のあと一緒に帰った。


しかも、手を繋いで。



そこまでやる必要ある⁉︎


他の女子まで刺激しちゃうんじゃない?



なんて言葉は、先輩には届かなかった。




そして、朝7時。


昇降口に集合した私達は、こっそりと隠れてるわけだけど。



背中には下駄箱。


両脇は先輩の腕に囲われ、目の前には不敵な笑みを浮かべる先輩。


誰がどう見ても、絶体絶命の大ピンチ‼︎