俺様主人は時に甘い


「馬鹿。お前は悪くないんだから謝んな」


「でも」


「悪かった。俺の配慮が足らなかったせいでお前に辛い思いさせたな」


「先輩…もしかして」



あの下駄箱を見たの?


画鋲とカッターの刃だらけの上靴と、【死】の紙を……



先輩はさっきとは打って変わって、険しい顔付きになると私を真っ直ぐに捉えた。



「いつからだ?」


「……先輩と初めて話した日から」


「何回入ってた?」


「今日で三回目…最初の二回は手紙だけで他は何も……」



最初の二回は先輩から離れろっていう警告だった。


でも、私は言い合いばっかでムカつくこともあるけど、先輩との関係が実は凄く心地良くて、この関係を終わらせたくないって思ってしまった。


警告を無視した代償は大きい。


結果、犯人を過剰に怒らせてしまったのかもしれない。