ふわっと香るシャンプーの香り。
力強い心臓の音。
きつく、だけど優しい腕。
真っ暗闇だった心が、光を取り戻していくようだった。
先輩…
先輩……‼︎
「ミヤ?落ち着いたか?」
どれぐらいそうしていただろう。
暫くして、先輩が私の背中をトントンと優しく撫でた。
なんか…少し離れたくない、かも。
だけど、ずっとこうしてはいられない。
私はゆっくりと先輩から離れると、コホンと一度咳払いをした。
「はい。すみませんでした」
なんか照れ臭くて、先輩の顔を見れない。
冷静になって思い返してみると、私かなり大胆だった気がする。
抱き寄せてくれた先輩の背中に腕を回して、胸に顔を埋めて。
先輩の心臓の音が、今でも頭の中で鳴り響いてる。
それはメトロノームのように心地いいリズムで、私の心を癒してくれた。

