溺愛オフィス



「えっ? そ、そんなわけないでしょ」


正直に言えば気になって、KAORIさんと桜庭さんの事を考えてたわけだけど、どうしてか素直に頷けなくて慌てて否定してしまう。

すると、壮介君は不機嫌そうに目を細めて。


「へぇ~? でも、なーんかソワソワしてるように見えるけど」


まるで責めるような口調で言った。


「してません」


ソワソワなんて……してない。

ただ、ちょっと気になっただけ。

そう。

ほんのちょっと気になっただけのことだ。


もやもやしたのも、私の知らない二人の過去を無駄に想像して気になったせいだろう。

きっとそうだ。

私は自分を納得させるように心の中で決定づけて、仕事の続きに取り掛かろうとした。

そうすれば、またも壮介君の声が横から聞こえてきて。


「ねえ、柊奈さん。次の日曜デートしない?」


しかも、それが今この時、この場では想像もつかなかった言葉で。