「さ、さく、桜庭さっ」 噂をすればなんとやら。 桜庭さんが、私を横目で見ながら歩いているではないですか! 「桜庭さん、おはようございまーす」 「おはよう」 美咲に挨拶にクールな声を返し、スタスタと私たちを追い越すと、ビルに入って行く桜庭さん。 い、いつから話を聞いてたんだろう。 そして、どうして今日に限って車通勤じゃないんだと、私はそっと肩を下げ小さく溜め息を吐いた。