「笑顔、初めて見た」 桜庭さんは、ほんの少し笑みを浮かべた。 そして…… 「さ、行くぞ」 私の手をそっと離すと、夕陽のオレンジを背に受けながら、颯爽と歩き出した桜庭さん。 私はそんな彼の背中を、早歩きで追った。 なんだか頬がちょっとだけ熱い気がするのは 多分、暖かな夕陽のせい。