溺愛オフィス



「あ、ありがとうございます」


心の中で自分を奮い立たせながら、おずおずと桜庭さんの手に自分の手を重ねる。

すると、そんな私の様子に、桜庭さんが冗談めかすように口角を上げて。


「もしかして、俺が嫌いか?」


そんな事を聞いてきた。

私は慌てて首を横に振る。


「ち、違いますっ! その……男の人が少しだけ苦手で」


本当は、桜庭さんに対しての苦手意識はあるけど、でも嫌いなわけじゃない。

とにかく、誤解させてはいけないと、私は正直に男性が苦手なことを告白した。

すると、桜庭さんは妙に納得した顔で私を見て。


「だから、資料室で俺を突き飛ばしたのか」


あの日の私の失態を口にした。