溺愛オフィス



今日は、KAORIさんのマネージャーさんと打ち合わせだった。

壮介君はアシスタントの仕事が忙しく、打ち合わせには欠席。


「本人と仕事する顔合わせと撮影日に合わせて、うちが動けばいい。蓮井もスケジュールを早乙女と相談し調整しといてくれ」


暫くはプロジェクトをメインに動くとはいえ、プレスの仕事を全くしないわけではない。

すでにプレスチームで一度ミーティングはしたけれど、また別で早乙女チーフに報告しつつ再調整しないと。

桜庭さんに言われ、自分の中で確認し、わかりましたと頷いた時だった。


「あっ!?」


突如歩みを止め声を上げた私に、桜庭さんは少し驚いた様子で振り向く。


「どうした?」

「いえ……あの、ヒールが……」

「ヒール?」


桜庭さんの視線がスッと移動する。

うっかりヒールがマンホールの穴にハマってしまっている私の足元に。