それから、大きな変化もなく更に日は過ぎて行き……
いよいよ今日、桜庭さんがニューヨークへと発つ日がやってきた。
桜庭さんからは何も聞かされていないまま。
どうやらそれは皆同じようで、昨日の夕刻、桜庭さんは深水さんをはじめとした社員の人たちにお土産を催促されていた。
桜庭さんは遊びで行くんじゃないからと面倒そうに答えていて。
私にはそれが、帰って来ないことを遠まわしに告げているように思えた。
壮介君は内緒だと言ってた。
だから、昨日「いない間は日宮と対応頼む」と言われた時も確かめることも出来ず……
「気をつけて」
そんな言葉しか、出せなかった。



