溺愛オフィス



壮介君の告白に、想いに、私の心が反応して、トクントクンと胸が高鳴る。

だけど……

こんな時でも私の心には、桜庭さんがいて。

今更ながら、自分がどれだけ桜庭さんを想っているのかを思い知る。

もうこれ以上、壮介君を待たせてはいけない。

ちゃんと返事をしよう。

言うなら今だと、私が唇を開きかけた時──


「はい、真面目な話はここまで。そろそろ仕事、戻ろうよ」


明るい声を出して、壮介君が立ち上がる。


「あの、壮介君──」


答えを引き伸ばすのは良くないと思い、声を掛けたのだけど。


「ごめん柊奈さん。もうちょっと頑張らせてよ」


壮介君は私が何を言おうとしているのか感じ取っていたんだろう。

困ったように微笑んで言うと、私を残し、自動販売機の冷却音が響く休憩コーナーから去っていった──‥