溺愛オフィス



父の気持ちは父にしかわからない。

けれど、看護師さんの言葉の通りなら、そこには小さくとも……


父の温かな気持ちが


愛情があるんじゃないかと


そう思えたから。


初めて、思えたから。


うまく言葉にならないけど、私の中にある父の存在が少しだけ変わった気がした。

長い間降り続いていた雨が止んで、見上げた空の雲間に光を見つけたように。


父を前に流した涙も、小さな頃は悔しさや悲しさ、恐怖といったものからだったけど。

今、止まることを知らないように流れる涙は、初めての"嬉し泣き"で。

その涙を必死に側にあったティッシュをもらって拭いていたら……


「また来たのか」


目を覚ました父の、不機嫌そうな声。

その声に、私の身体がビクリと反応したけれど。


「うん……おばあちゃんから聞いて」


写真のことがあったからか、前よりも心の強張りはなくて。

それどころか、私の手にしているものに気付いた父が、居心地悪そうに私に背を向けるように寝返る姿に、頬が緩む。