溺愛オフィス



桜庭さんが何を待っててくれるのか。

それはわからないままだけど……


「柊奈さん、KAORIに振り回されすぎだから」


ハッキリとわかってるのは、KAORIさんの件はもうどうにもならなさそうだということだ。


「壮介君なら勝てた?」

「そもそも酒で勝負なんて俺ならオッケーしないし」


会社からの帰り道。

たまたま帰宅の時間が被った私と壮介君は、駅までの道のりを会話しながら辿る。


話題は、昨日の勝負の件だ。

壮介君はプロジェクトのメンバーだし、結果は残らなかったにしろ、一応話したわけだけど……

案の定というか、壮介君は呆れた眼差しで私を見ている。


「ま、救急車の世話にならよくて良かったじゃん」

「そ……そうだね……」


本当、それに尽きる。

桜庭さんのお世話にはなってましったけど……

この話は、壮介君にしたらヤバそうなので伏せておこう。

いちいち言う事でもないし、と心の中で呟いてから、私は溜め息を零した。