溺愛オフィス



祖母が苦笑いを浮かべる中、私は昔みたいに萎縮してしまいそうな自分に負けないよう、笑顔を貼り付けて花を差し出す。


「これ、良かったら」


久しぶりの再会にも関わらず、私たち親子の間に挨拶はなくて。

父の視線は相変わらず私から外れたまま。

花を受け取る素振りも見せず、代わりに祖母が「ありがとう」と言いながら受け取った。

そして、空の花瓶を手にすると生けてくると話し、病室から出て行ってしまう。

父の元に一人残された私は、どうしていいのかわからず。

居心地の悪さを感じながら、ただ、会話もろくにできないで立ち尽くしてしまって。

父も私を無視するように、新聞を広げた。

そして──


「もういい。帰りなさい」


しかめっ面で出て行くようにと顎をしゃくった。