ピーンポーン。ピーンポーン。
何年ぶりかの懐かしい音が玄関からしました。私の家に呼び鈴を鳴らして来る人は少なく、大抵は出迎えますから。さほど気にはなりませんでしたので、私はフランス語の勉強を続行していました。少しすると、ドアをノックする音が聞こえましたので、
「入って良いですよ。」
と声を掛けますと、使用人の渡辺さんが入って来ました。
「奥様がお呼びでございます。」
「分かりました。今行きます。」
と手早く机の上を片付けリビングへ向かいました。
そこにはお母様がお座りになられていて、笑顔で
「先程、お隣に引っ越して来たと言う人が挨拶にいらしたの。それで、ケーキをくださったから…貴女の好きなケーキよ。一緒に食べない?」
「もちろんです。」
隣の人はすごいなと私は思いました。だって、私の好きなケーキをたまたまでしょうけど、買ってきて下さったんですから。
そのケーキを味わってまた勉強を始めました。
afternoon。
久々に時間が空いたので、図書館に本を借りに行くことにしました。渡辺さんがついていくと言って譲りませんでしたが、丁寧に断って出掛けました。…出掛けるのに人がついてきたらイヤでしょう?
休日なので、いつもより人が沢山いましたが、それは児童書辺りでしたので、ホッとする私。大勢人がいるところはあまり好きではないんです。
この間借りた本が面白かったので、続刊も借りようと思ったのです。
ーと、横から手が伸びてきて私が取った本を取りました。そう、一緒に同じ本を取ってしまったのです。
「「…!!」」
慌てて離して隣を見ると、私よりも全然年上の眼鏡をかけた端整な顔立ちのオトナっぽい男の人が立っていました。
その人は、恥ずかしそうに俯くと、
「…ごめんね。…君もこれ借りたいんだよね。僕はたまたま取っただけだから大丈夫だよ。鳥居さん。」
「…!?」
ハッとして顔をあげると、彼は去ってしまっていた後でした。
…どうして名前を知っているんですか?
何年ぶりかの懐かしい音が玄関からしました。私の家に呼び鈴を鳴らして来る人は少なく、大抵は出迎えますから。さほど気にはなりませんでしたので、私はフランス語の勉強を続行していました。少しすると、ドアをノックする音が聞こえましたので、
「入って良いですよ。」
と声を掛けますと、使用人の渡辺さんが入って来ました。
「奥様がお呼びでございます。」
「分かりました。今行きます。」
と手早く机の上を片付けリビングへ向かいました。
そこにはお母様がお座りになられていて、笑顔で
「先程、お隣に引っ越して来たと言う人が挨拶にいらしたの。それで、ケーキをくださったから…貴女の好きなケーキよ。一緒に食べない?」
「もちろんです。」
隣の人はすごいなと私は思いました。だって、私の好きなケーキをたまたまでしょうけど、買ってきて下さったんですから。
そのケーキを味わってまた勉強を始めました。
afternoon。
久々に時間が空いたので、図書館に本を借りに行くことにしました。渡辺さんがついていくと言って譲りませんでしたが、丁寧に断って出掛けました。…出掛けるのに人がついてきたらイヤでしょう?
休日なので、いつもより人が沢山いましたが、それは児童書辺りでしたので、ホッとする私。大勢人がいるところはあまり好きではないんです。
この間借りた本が面白かったので、続刊も借りようと思ったのです。
ーと、横から手が伸びてきて私が取った本を取りました。そう、一緒に同じ本を取ってしまったのです。
「「…!!」」
慌てて離して隣を見ると、私よりも全然年上の眼鏡をかけた端整な顔立ちのオトナっぽい男の人が立っていました。
その人は、恥ずかしそうに俯くと、
「…ごめんね。…君もこれ借りたいんだよね。僕はたまたま取っただけだから大丈夫だよ。鳥居さん。」
「…!?」
ハッとして顔をあげると、彼は去ってしまっていた後でした。
…どうして名前を知っているんですか?

