ある青年貴族の遺書

彼女は、実在しないのだ。

絵の中の人なのだ。でも、そこにいる。
絵の中に入りたい。
彼女の傍に行きたい。
あぁ、あの彼女の傍に
丸くなっている子犬になりたい。
彼女に触れたい。寂しい。悲しい。

どんなことをしても。
訴えても彼女は私を見つめるだけ。

手に入れたい。入らない。触れられない。
感じられない。愛してる。愛して欲しい。