あやひめ

「綾子、そこのタバコとってくれへん」
「やだぁ、のりくん。私がとるよぉ」
はるながとろけそうな声でいう。
そして、私のほうをむくと。

凄い目で睨んだんだ。
一瞬だったけど。すごく怖かった。

「田中君と、外に出ててくれない?」

なに、それ?
邪魔ってことなの? 
友だちより男?
ありえなくない?

いろんな言葉が頭をぐるぐるまわる。
でも、そんなこと言えなくて。

「あ、お邪魔だよね。ごめんね」
なんておどけて言ってたんだ。