あやひめ

「おまえ、どこみてんだよ!」

男子の声を無視して、着物講釈を始めたのは。
あの関西男だった。

髪型、小物、帯、浴衣、下駄。
ちっちゃい画像なのに、細かく指摘する。
周りを圧倒する、知識。観察力。
男子も女子も黙って聞いている。
だんだん、私じゃなくて、着物の話に話題がうつってく。

な、なに?
もしかして助けて・・・くれたとか。

「だけど、これだけきっちりしとると。
かえって俺は色気は感じんわ」
タバコの煙を吐き出して、にやりと笑った。

前言撤回! やっぱりやなやつ!