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好きな人と言うか勿論、一方的に。立原は大学4年生の時この浅岡悠に幾度となく告白され続けたのだ。気まずくないはずがない。
しかし「好きな人!」と言われて固まる。「好きだった人!」ではなく、好きな人。嘘でしょ、と絶句する。あんた、まだあたしのこと好きなの⁉︎呆れて思わずため息を吐いた。

「ごめんねー、さすがに中学生は無理かな?」
「悠くんかわいいけど、彼氏は無理よ。あたし彼氏いるし、中学生だし、ね?」

などなど、立原は大学4年生の一年間で浅岡に数えられない程告白され続けた。そして全て振り続けたのだが、まさかまだ好きと言われるとは思っていなかった。会うたび好きと言ってきた為、ネタかと思ったくらいだ。
こっ酷く振ったのに、まだ好きとかどうかしている。ガキのくせして、生意気だ。

「えーっ、マジで⁉︎お前が言ってたのってこの人だったの⁉︎」

なんだか盛り上がっている高校生たちにイラっとくるが、立原は自分に無だと言い聞かせる。
少しでも浅岡の顔を見て動揺した自分にも腹が立つ。