「涼子さん?」

はあ?なんであたしの名前知って、
一瞬無が崩れ眉間に皺が寄る。下げていた頭を上げる間にどうにか無を取り戻したが、名前を呼ばれた方を見て少し固まる。

「…は、悠くん…?」

嘘、だいぶでかくなってる。肩くらいまでしかなかった背は少し見上げるまでに成長している。まあ、6年経ってるしね、当たり前だ。

「覚えてくれてたんですね!」

ニコニコと嬉しそうにする後輩浅岡悠。忘れる訳ないでしょ、あたしはあんたに、

「え、ハルカ知り合い⁉︎」
「知り合いというか、…」

今から数時間案内する手間、その続きは言わないで欲しかった。

「…俺の好きな人!」