「絶対に、…」

涼子さんは俺を子ども扱いしてる。

浅岡は重々しくため息を吐いた。目下の悩みが立原のことで、なんとも気が晴れない。デートなんて家以外ないし、しかもそれさえ勉強がてら、といった感じだ。普通に恋人っぽいことしたいのだが、立原は9つ違う事に引け目を感じているのかキスさえままならない。
最悪、他に男がいるのかと思うくらいだ。

「ハルカ、やめろよ、重すぎ」
「ご、ごめん」
「いいけど。それよりどうしたんだよ。ずっと好きだった憧れのお姉さんと、付き合ってもらえたんでしょ?何があってそんな負のオーラ出してんの」

キスしてー、と好きな人に対して思うのはふっつーの男としての心情だろう。

「キス、まだ2回しかした事ないんだ。デートも外でしたこと無いし。涼子さん、俺以外彼氏いるのかなあって」
「2回⁉︎たったの?お前、付き合って2,3カ月経ってるだろ、まじか。イマドキの小学生でももうちょい行ってるよな。進歩遅すぎ」
「だから困ってんだろ」

そして再び重くため息を吐いた。