それを振り払うように立原は浅岡の教科書をパラパラとめくる。この一カ月ほど、浅岡を教えていてだいぶ懐かしく思う勉強内容で、結構忘れていることもあった。

「じゃあ、今日は英語?」
「お願いします」
「えっとTOICE対策なんだよね?TOICEってあたし就職してから受けたから、特別いい訳じゃないから。一応保険かけておかなきゃね」

立原の家のテーブルは丸型の座卓な為、勉強を教えているとその距離にドキドキして来る。
もちろん、浅岡の方も手が触れるたび、吐息がかかるたびトクンと心臓が音を立てていた。涼子さんやっぱり俺の事なんとも思ってないんだろうな。ほーら、こんなに近いのにドキドキしてるの俺だけじゃないか。本当に付き合ってんのかな、デートだって家かスーパー意外した事ないし。

「悠くん?」
「ーーは、はいっ」
「ここ分かる?」
「えっと…、」

涼子さんが隣にいて何も集中できません!豊満というわけではないが、形の良い胸や腰のカーブに一度目が行くと中々集中できない。キリッとした目元にすっと通った鼻筋、美人過ぎる。と完全に偏見の入った感想で立原を見つめてしまう。