恐ろしい調理法で出来上がった唐揚だが、見た目は中々だった。美味しそうにカラッと揚がっている。

「美味しそう」

ダイニングでキンピラと唐揚とご飯のみが並ぶシュールな絵面だが、単品で見ると本当に美味しそうだ。浅岡も立原の向かいに座ってじっと見つめてくる。出来映えの感想が気になるのだろうが、そんなに見られると食べにくい。

「食べて、食べて」
「じゃあ、いただきます」

メーンの唐揚から箸を付ける。ドキドキしながら口に運んだ。

「ん！生姜で味付けしたんだ。美味しい！」

キツいわけではないが、しっかりと生姜の香りがする唐揚だ。ちゃんと下味を付けていたから、何も付けずに食べれるくらいである。

「本当に美味しい。上手じゃない。料理できないとか言ってのに」
「人間好きな人のためならなんだってできちゃうんですよ？」

浅岡は冗談ぽく言うが、立原はこの一カ月程で浅岡について分かった事がある。冗談ぽく言う時は照れ隠しであるという事だ。可愛くてふっ、と立原は笑った。