「今度は絶対行くから今日だけは本当勘弁」

今までの嘘をついて合コンを断ってきた自分を恨む。まさにオオカミ少年状態だ。

「どうせ今回も面倒くさいだけでしょ⁉︎そんなの信じないからね!いい!6時に駅集合だからね!」
「真佐美ちょっと待って、本当にごめん。今日はどうしても無理なの、だから、ごめんっ!」
「嘘だー!じゃあ言ってみ、何の予定か」

え、そう来る?焦る。言っていいの、彼氏とご飯の先約が…高校生だけど、って?

「ほらやっぱないでしょ」
「あるあるある!本当だから。その、ちょっとね、今晩はご飯先約があって」
「誰!彼氏じゃなければいかせない。あんたが彼氏いない事くらい知ってんだから」

先手を打たれて立原はぐっと詰まった。最高に頭を回転させる。

「そのお、…ぶ、部長と飲みに…はダメですか」

流石に上司との飲みは断れまいと踏んだ今の精一杯だ。同僚の目が完全に疑っている感じだが、今日ばかりは見逃していただきたい。浅岡との約束は現在立原の優先順位第一位なのだ。

「本当に?」
「本当、本当」

すぐに上司に口裏を合わせるよう頼まねばならない。