いいけど、と小さく返すが、別に台所で話す必要は無いような気がする。しかし狭い台所なので、浅岡が出てくれない限りリビングに行けない。やんわり座って話そうと言おうか迷っていた。

「あの、涼子さん、俺、涼子さんのことやっぱり好きです。涼子さんが卒業した後も諦められなくて、…本当に好きなんです」

時、薄暗い台所のムードもクソもないところで浅岡の声が響いた。しっかりとした声音のハスキーボイスが。

「え、」

いきなりの事に反射で声が出た。イマナンテイッタ?「好き」?聞き間違いでなければ確かにそう言った。

「え?」

しかし、なぜか浅岡に聞き返され立原は焦る。

「あ、悠くんそのねっ…ーーー」
「待って下さい。ーーーまだ言わないで。断られる事目に見えてるので、お願い、もうちょっと待って下さい」

よく分からないが、完全に浅岡は一人で完結している。