「ごめん、ありがとう。ちょっとぼーっとしちゃってた」
「大丈夫ですか?やっぱりごはんご馳走なるの迷惑でしたよね、今更ですけど…」
「大丈夫、考え事してただけだから。ほら出来たから、伸びないうちに食べよう」

残念ながらカウンター式ではない(家賃の関係上)ので、料理を隣のダイニングまで運ぶ。
味はいつも通り失敗なく作れていた。しかし浅岡はいちいち新鮮に喜んでくれる。

「すっごい美味しいです!家でちゃんぽん出たことなかったからびっくりしました。お店のみたい!」
「そんなに褒めてくれて、ありがとう。嬉しいかも。でもみんな作ってると思うし、すごくないけどね」

色々忘れてしまうくらい楽しい。

「でも、やっぱり涼子さん家とか綺麗にしてて、羨ましいです。俺の部屋すぐ汚くなっちゃうから」

お腹がいっぱいになったくらいで静かに、会話する。

「そう?あたし人家に入れるの初めてだから初めて言われた。あんま考えた事なかったし。でも悠くん綺麗にしてそうだけど」
「いやー!母さんにいっつも怒られっぱなしです。って子供丸出しですね」

立原は悪戯っぽく笑う顔に少し見とれる。それとは知らず、浅岡は興奮していた。初めて涼子さんの家に入ったの俺⁉︎
無防備だななんて思っていたが、浅岡が初めて(家に入った)の人ということは、ーーーだいぶ期待してしまう。な訳ないのに。子供だから、躊躇なく家に入れてくれたのだろう。

「そういえば、今思い出したけど、本題よ。話し、あるんでしょ?」

ずっと気になっていたが、立原はふと思い出した体を装って質問した。